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交詠連歌「富士見沖浪裏」之卷



(発)   ビル影に予感を揺らす辛夷かな       (五七五)  —— 双宮司

(脇)   穀雨降りつつ傘までいらぬ         (七七)   —— 有筠氏

(第三)  コーヒーの湯気に重なる街角か       (五七五)  —— 双宮司

(四)   人混み混みに楚々とカップル        (七七)   —— 有筠氏

(五)   指先が触れて始まる片思い         (五七五)  —— 双宮司

(六)   仕合わせた糸俄かに破綻          (七七)   —— 有筠氏

(七)   月影に縺れ果てゆく独り言         (五七五)  —— 双宮司

(八)   浮かんだ光沈んでしまう          (七七)   —— 有筠氏

(九)   石を噛む水の響きや奥深く         (五七五)  —— 双宮司

(十)   山々覆う松竹と梅             (七七)   —— 有筠氏

(十一)  霞立つ尾上に白く桜咲く          (五七五)  —— 双宮司

(十二)  散っても散っても散り尽くせない      (八七)   —— 有筠氏

(十三)  白帆ゆく沖の明るさ雲の峰         (五七五)  —— 双宮司

(十四)  ちらっと富士見沖浪の裏          (七七)   —— 有筠氏

(十五)  波間より吐き出されたる月の彩       (五七五)  —— 双宮司

(十六)  プロヴァンス西星の渦巻          (七七)   —— 有筠氏

(十七)  狂おしく焦がれて燃える瞳かな       (五七五)  —— 双宮司

(十八)  ル・ラヴァンドゥーの草木の灰       (七七)   —— 有筠氏

(十九)  埋もれて風に吹かるる枯野かな       (五七五)  —— 双宮司

(二十)  吹かれ吹かされ花の唇           (七七)   —— 有筠氏

(二十一) 紅さして氷も解ける水の上         (五七五)  —— 双宮司

(二十二) 流れ流され相模の河口           (七七)   —— 有筠氏

(二十三) 陽炎に霞む帆影の遠ざかる         (五七五)  —— 双宮司

(二十四) 海に抱かれて希望の轍           (七七)   —— 有筠氏

(二十五) 苗代に映る早苗の瑞々し          (五七五)  —— 双宮司

(二十六) 借りっ放しの市民農園           (七七)   —— 有筠氏

(二十七) 鍬を置く畦に冴えゆく月の影        (五七五)  —— 双宮司

(二十八) 叢雨の粒不意に訪れ            (七七)   —— 有筠氏

(二十九) 濡れてゆく肩に重たき郷愁か        (五七五)  —— 双宮司

(三十)  疾う疾う別れ漸う身知り          (七七)   —— 有筠氏

(三十一) 一筋の煙は白く極まれり          (五七五)  —— 双宮司

(三十二) 行く場所も無く去る場所も無し       (七七)   —— 有筠氏

(三十三) 凍て解けて萌え出ずる芽の誇らしく     (五七五)  —— 双宮司

(三十四) 枯るる木の枝桜の蕾            (七七)   —— 有筠氏

(三十五) 吉野より霞み渡れる花の雲         (五七五)  —— 双宮司

(挙)   幾千年の雪の融く音            (七七)   —— 有筠氏

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