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續甲州紀行四首 小淵沢こぞの真冬の麓竹頃の鰻とたけつつまむし 日野春の旗掛けし人本意遂げず掛けられし松先づ上洛し 山如く動かぬと言ひならわせばあるべからざれ七里岩こそ 吉田富士眼間(まなかひ)に詰め天(あま)に染め目に余れども猶し見厭かず
續甲州紀行七首 山木小屋芽張る疾風の朝餉ちふ雪嶺(ね)景気に即席麺か 長坂の九十九折沿ひ咲く桜華の叢透きに顕るる富士 長坂の桜下照る黛(まよがき)の額に差しし吾妹の玉手 蕪村(かぶむら)の田の畔(あ)に沿ひて咲き荒びつと吹く颪桜のつむじ 蕪村の童の手にて且つ且つと七抱への木新梢(にひこずゑ)生ふ 蕪原の麦の畑の萌葱色富士と阿弥陀との瑞西風情 麦の原桜舞ふころ波立ちて草間の母子領巾か投げ合ふ
甲州紀行六首 春霖か塵すすぎつつ用沢の並木の山路霧隠りけり 恋路とて憂き路の訛り乳ヶ崎の屋の上(へ)の烏仲立ち願ふ ささなみのよす河口のうみつつむ雨降りつつもただ魚釣りて 河口つ桜つ上つ枝烏居て淡紅染めし木の鳥居かな 花時雨其の唇や落とさるる地にや敷かるる退紅小径 山づらに瞬く明かし屋根裏に湯気越し映る木影揺蕩ひ